今年は立て続けに台風が来て、そのたびに被害が出たり、人々の生活が翻弄されました。
被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
小学校の低学年の時に大きな台風が来たことがありました。
一晩中の吹き荒れた嵐が去った後、起きると庭中に物が散乱しており、二階のベランダに敷かれていた大きなスノコまでもが飛ばされ落ちてきていました。
その時、縁の下に小さな子犬が一匹うずくまっていました。
今考えれば、雷と風雨におびえて、どこからか逃げ迷って来たのです。
雑種犬でしたが、むく犬のようにフワフワとした可愛い子犬でした。
私はまるで大風が天から降らせた贈り物のように思い狂喜しました。
早速、家で飼うことにして、喜び勇んで散歩に連れて行きました。
それから1週間ほど経って、何とその子犬の飼い主という親子が我が家にやって来たのです。
バスで言えば一停留所先くらいに住んでいる少年とお母さん。
居なくなった子犬を探していて、私が散歩させている子犬のうわさを聞いたようです。
「欲しい!私のものだ!」と我儘を言えないのだという状況を初めて自ら悟りました。
子犬を少年に腕に渡した時の悲しみと落胆は今でも鮮明に覚えています。