グフタフ・クリムトの「六月」は、官能的でゴージャスなクリムトには珍しい、静かで清楚な作品です。
この絵を見ると、美しさ、気高さ、上品さ、強さ、聡明さ、優しさを兼ね備えた理想の女性像を見るようで、思わず背筋がピーンとなってしまいます。
日本では「六月」と訳されていますが、ここで描かれている女性は「ユーノ」。
ローマー神話で女性の結婚生活を守護する女神だと思います。
この女神のお祭りは古代3月や7月に行っていたようですが、現在は6月の女神として、6月を表す言語の語源にもなっています。
またそこから6月は婚礼にふさわしい月とされ、ジューンブライドなどの言葉が生まれました。
爽やかな風が吹くようなこの絵は、梅雨の鬱陶しさをひと時忘れさせてくれます。