関西で春を告げるイカナゴの新子。そろそろ今年もシーズンが終わりです。
出始めると、競い合うように煮ては、遠くに住む知り合いに送ります。
私にも「イカナゴのくぎ煮」を待っていた郷里の伯母夫婦が居ました。
「今年はよい味だった」とか「今年は柔らかかった」とか、着けば喜んで電話して来ました。
その伯母が施設に入り、伯父が一昨年亡くなりました。
伯母には、料理、編み物をよく習いました。伯父はいつでも、いざという時に頼りになる人でした。
歳をとるにつれて、色々な場面でアドバイスを下さり、教えを下さり、諭してくださる方が周りに居なくなります。
時には鬱陶しいと思ったそれらのことが、何とありがたい事だったか。
頼りとする者が無くなる事が、どんなに不安なことか身にしみて思います。
何年経っても未熟なくぎ煮を作りながら、そんな事をしみじみ思いました。