小学生の時に読んだ石森延男の『パトラとルミナ』。
大学で児童文学を学んでいる時にふと思い出し、もう一度読みたいと切望しました。
絶版本を探しあぐねて40年あまり。
とうとうインターネットで手に入れることが出来ました。
出版社はかつて講談社の子会社であった東都書房。昭和34年の発行です。
第1部と第2部に分かれた2冊の本は装丁も美しく、全頁に日本画家 松田穣の挿絵が入っていました。
架空の国、その自然の中でのパトラという男の子とルミナという女の子の冒険と成長の物語。記憶とは少し違ってはいましたが、今でも読みだしたら止まらない素晴らしいファンタジー作品です。
石森延男は『コタンの口笛』の代表されるリアリズムの児童文学作家で、キリスト者であったようです。このファンタジーも架空の世界を描きながら、生きる上で人として大切なことを子どもに教えています。
『パトラとルミナ』は最初は中部日本新聞に連載されていました。もう60年近く前のことになりますが、いまでも覚えている方がいるようで、ネットで調べると店名に使われたりしていました。
現在でも子どもの読み聞かせたい作品だと強く思います。
「本」カテゴリーアーカイブ
生れた年の『暮らしの手帖』
NHKの朝のドラマ「とと姉ちゃん』も終盤に入りました。
「暮らしの手帖社」の創業者・大橋鎭子さんと花森安治氏をモチーフにしたフィクションのドラマですが、よく取材された上での脚本だと感じます。
以前、友人が私が生れた年の『暮らしの手帖』を古本屋で手に入れてプレゼントしてくれました。(歳がばれますが)
現在は隔月刊ですが、この頃は季刊だったのですね。そしてB5版です。
洋裁のページでは、鎮子さんと妹の芳子さん、そして親友の綾さんこと中野家子さんではないかと思われる女性がモデルとして登場しています。
私の大好きな鎮子さんのエッセイ「素敵なあなたに」のページはまだありありません。
この号の商品テストは体温計でしたが、その他にもショッピングガイドとして何点もの商品を検査研究しています。
およそ200ページの中に情報、読み物がぎっちりとつまり、3か月間は優に楽しめる内容です。
まさに読者のためにという真摯な姿勢が伝わってくるのでした。
大切な一日
2006年発行と古い本ですが、おーなり由子さんの「ひらがな暦」を毎朝、開くのがこの頃の日課です。
366日の小さなエッセイが、可愛らしいイラストと共に1ページに収められていて、その下に催事記やちょっとした豆知識が載っています。
おーなりさんの優しい文章が心地よく、何気ない1日に色々な行事や謂れがあったりと気づかされます。
松浦弥太郎さんのくらしのきほんというHPには、毎朝新しいメッセージが載ります。
どちらも1日の始めに、今日がかけがいの無いものだと思わせてくれます。
大橋鎮子さんのこと2
NHKの朝の連続ドラマの「とと姉ちゃん」は雑誌『暮らしの手帖』の創設者の一人である、大橋鎮子さんがモデルだということで、にわかに注目されています。
大橋さんと言えば、「すてきなあなたに」。
中学生の時から、図書館で新刊の『暮らしの手帖』のこのページを、同じように好きな友達と読んでいました。
食いしん坊の友達は料理のレシピを書き写し、私は美しい文章と心温まるエッセイに魅せられました。
高校卒業の記念に恩師から頂いた「すてきなあなたに」の1巻は何度も読み返し、ボロボロに。最後の索引を見ただけで、エッセイの内容が分かるくらいです。
『暮らしの手帖』は隔月刊なので、数ページのエッセイをまとめた1冊の本が出来るまでには時間がかかります。
第1巻1975年、2巻1988年、3巻1994年、4巻2004年、5巻2006年。
次の発行をいつも心待ちにしていました。
しかし、2013年に大橋さんが亡くなると、私の心はぽっきりと折れてしまい、昨年(2016年)暮れに第6巻が出たことも知らずにいました。
第6巻は大橋さんが手がけた最終巻だったのです。
思えば1巻の頃はご自身の経験や取材で書かれたことが多かったエッセイも、次第に協力者の方々から伺ったりしたお話しが多くなりました。
それでも大橋さんの品格ある文章で伝えられると感動ひとしおです。
それこそ読むのがもったいなくて、毎日少しずつページをめくっています。
スマホで読書
秋も終盤になりましたね。
読書の秋でしたが、この頃は老眼が進み本を読むのが億劫になっていました。
でも最近スマホにKindleを入れて読むと、字も大きく、明るく快適なことに気が付きました。
特にベッドに入った時、重い本をめくる動作なく読めるのも魅力です。
その上、Amazonでは、昔の名作が0円でダウンロード出来ます。
太宰治、田山花袋、夏目漱石など文豪の名著、知られざる作品も数々あり、改めて読み返したり、初めて読んだりして楽しんでいます。
昔読んだつもりでも、歳を経て、全然違う自分の受け止め方があります。
勿論、実物の本の真新しいページを開く感覚も大好きですし、本の装丁にも興味があります。
両方の良さを取り入れていけばよいと思います。
少女漫画の世界
先日、百貨店で開催されていた「わたしのマーガレット展」に行ってきました。
マーガレットとは1963年に創刊された少女雑誌「週間マーガレット」のこと。
懐かしい漫画の原画や、はっきりと記憶にある雑誌の表紙など、ひと時少女時代にタイムスリップしたのでした。
次号が待ちきれなかった「ガラスの城」、「ベルサイユのばら」、「スマッシュを決めろ」等々。
漫画に夢中になっていた頃、教師から「漫画は頭を使わない」と言われたものですが、いえいえそんな事は全くありせんでした。
勿論その場限りの笑い、刺激だけを求めるものもあったでしょうが、私は人間の感受性、知らない世界、新しい言葉を漫画から学びました。
80年代からの名前も知らない漫画家の絵を見ると、更に進化しているのがよく分かります。
多くのストーリーもまたTVドラマや映画の原作になっているように、入念に構成されたたものです。
まさに「漫画」は日本が世界に誇れるカルチャーだと実感しました。