三ツ星クリーニング店

もう30年近くお世話になっていたクリーニング屋さんが閉店します。ご兄弟で営んでいた昔ながらのクリーニング屋さんで、丁寧で安く、信頼できるお店でした。いつもお店にいる弟さんが具合が悪そうにしていたのは昨年の初めで、癌を患っているとのことでした。夏の終わりに「また入院する」と伺い、身体の痛みが限界の様子で、かける言葉がありませんでした。秋に亡くなり、今年の春にお店を閉めることになったのです。

衣替えの時に行くだけでしたし、寡黙な方でしたが、気候の話をし、衣服の繊維のことや取扱いを教えてくれました。無理な注文も快く引き受けてくれました。扉を開けると作業中の奥の部屋から出てくる姿が今も思い出されます。深くは知らなくても、いつもそこに行けば会える、そんな人が居なくなるのは本当に寂しいことです。

クリーニングの仕事は本当にきつい仕事です。そしてこうしたお店は段々に姿を消して行きます。実直で働き者、最後までプロ技術に徹したクリーニング屋さんのことを忘れません。