昭和の児童文学の草分け的存在である松谷みよ子さんがご逝去されました。
大学時代に児童文学を専攻した私の卒論は「松谷みよ子論」でした。
情けない事に内容はよく覚えていないのですが、当時は松谷さんの著書である赤ちゃん絵本、モモちゃんシリーズ、民話などを探し求めて読みました。
大人になってから改めて読む児童文学の世界は、いつの間にか、希望、勇気、輝く未来のような向日性だけを目指すジャンルではなくなっていました。
1964年初版の「ちいさいモモちゃん」は人形劇にもなり、可愛いモモちゃんと猫のプーの物語でしたが、シリーズが進んだ1970年代には家庭内の不和、離婚などリアリティが増していきました。
「二人のイーダ」に始まる戦争を主題にしたシリーズ。
収集した民話にも、人間の本性のようなものが現れていると教えられました。
擬人化された物を使うことで語り口はやんわり、それでいて中身は鋭いと感じさせられました。
児童文学を離れて久しいですが、あれから更に進んだシリーズを是非読んでみたくなりました。