東田直樹さんのこと

maru

友人に勧められて、NHKのドキュメンタリー『君が僕の息子について教えてくれたこと』を観ました。
自閉症の東田直樹さんが13歳の時に書いたエッセイ『僕が跳びはねる理由』が、現在世界22カ国で翻訳されベストセラーになっています。
この本が出版されたのは7年前。日本では話題にもならなかった本を、アイルランドの作家デヴィッド・ミッチェル氏が見出し翻訳しました。
ミッチェル氏自身も自閉症の息子を持ち、わが子をどう理解したらよいのか、どう接したらいいのか、迷い苦しみ絶望の中にいた時にこの本の救われたのです。

東田直樹さんは、通常の会話は出来ませんが、キーボードを使って会話をすることが出来ます。
脳の検査の結果では「言語を話す器官と言葉を理解する器官の伝達がうまくいかない」ということでした。
通常の会話が出来ない、他人の身体の中にいるように、自分自身をコントロールが出来ない。
本人にとっても、家族にとっても、それは想像を超えた辛いことです。
しかしキーボードを通して溢れ出す感受性、他者への優しさ。
直樹さんのよって多くの自閉症の方の心の声が代弁され、ミッチェルさんによって世界中に広められました。
奇跡としか言いようのないことです。
直樹さんは「他人の意図を読み取る右脳の一部」が通常よりはるかに発達しています。
人間にとって一番大事な場所。
健常者でさえ持ちえないものを持っているのだと思います。