映画「八月の鯨」が公開されたのは1987年。今から25年も前です。
ロードショーを一人で観にいった当時は、なんとなく良い映画だなと思っていたものが、今になってストリーや場面をよく思い出します。
自分自身が歳を重ね、また現在、年老いた親をみているからかも知れません。
歳をとれば、若い時には平気で出来たことが出来なくなるのが自然です。
しかし現実になると、悲観したり、劣等感を持ったり、うらやんだり、焦ったりの毎日です。
映画の中では眼が見えなくなって意固地になり、生きることへの意欲を失ってしまった姉に対し、妹のセーラは毎日を丁寧に過ごします。
家の中に野の花を飾り、身なりを構わなくなった姉の髪をべランダで梳き、教会のバザーの品を手作りする。
特に結婚記念日に亡き夫の写真を前に盛装し、キャンドルを灯し、ワインで乾杯し語りかけるシーンは感動的です。
最後は姉も希望を取り戻し、若い頃に楽しみにしていた「八月に島の海岸に訪れるクジラ」を見ることを再び心待ちにするのです。
心の翼だけはいくつになっても羽ばたけると思います。