秋晴れのバザーの日。これと言ったお手伝いの出来ない私は、家でフルーツケーキを焼いて届けます。
ドライフルーツの入ったパウンドケーキですが、3週間くらい前から刻んだドライフルーツやレーズンをラム酒に漬けておきます。
このケーキを作る度にトルーマン・カポーティの『クリスマスの思い出』を思い出します。
11月の終わりに、老女と少年が、生のピーカンナッツやサクランボ、シトロン、ジンジャー、パイナップルの缶詰、果実の皮、レーズン、クルミ、ウィスキーを買い込んで、クリスマスに友人に贈るケーキを沢山、焼くという話です。
彼らは貧しく、ケーキの為に苦心して1年間お金を貯めますが、それが最高の喜びなのです。
無垢な老女は、映画「道」のジェルソミーナを連想させます。
温かく、純粋で最後はほろっとさせられる短編です。