『暮らしの手帖』の創設者の一人で前編集長である大橋鎮子さんがお亡くなりました。
93歳。いつかはと思いながら、いつまでも願い続けていた方でした。
平成22年に発行された『暮らしの手帖とわたし』は、戦後すぐに暮らしの手帖を創刊し、共に働いた花森安治氏の死までを綴った自伝です。
戦後の日本で人々の生活に夢と知恵を与えるために雑誌は作られました。
そしてその根底には切実な平和への願いが感じられます。
どんな状況からも希望を見出す大橋さんのしなやかさ。
不正には妥協を許さない強さ。
人の世話をとことんまでやってしまう優しさ。
美しいもの、出来事を見出す目、見極める心。
好奇心にあふれ、食べること、おしゃれを愛した可愛らしさ。
暮らしの手帖を手に取れば、まっ先に読んだ「すてきなあなたに」のエッセーは、落ち込んだ時は度も読み返し、心を柔らかしてくれました。
大橋さんによるそのページが無くなることを心から残念に思います。